ブログ

第61回卒業証書授与式式辞

 昨日までの雨が嘘のように春らしいとてもさわやかな陽気になりました。
今日の卒業式にあたり、まずは多くのご来賓の皆様、ご多忙の中ご臨席賜りまして誠にありがとうございます。また、多くの保護者様におかれましても、お子様のご卒業誠におめでとうございます。そして446名の生徒諸君、ご卒業本当におめでとうございます。

 先ほど、代表する各クラスのみなさんに卒業証書をお渡しさせていただきました。実は皆さんが入学した平成28年は私にとっても大変感慨深い年です。と言いますのも、みなさんが入学する年に私は校長を拝命いたしました。そして私の校長としての最初の大きな仕事は、この入学式で皆さんをお迎えする式辞を申し上げたことです。あの時、埼玉県内の中学3年生は65,420名。そして、入学されたみなさんが450名。出会う確率は約0.5%。これは自動販売機の下におつりが落ちている可能性と同じである。それくらい奇跡に近いような確率で皆さんとお会いできたということをお話しさせていただきました。
併せて、「Today is the first day of the rest of my life.」今日という日は残りの人生の中の最初の一日である。様々な経緯があって入学していただいたかもしれないけども、手を繋ぎ、新しいスタートをしていきましょう。過去にこだわらずに今を一生懸命生きていきましょうというようなお話をさせていただきました。あれから3年、あっという間だったという方もいればとても長く感じた方もいたかもしれません。また、今日31日は卒業式という区切りではありますけれども、今現在、受験を続けている方もいます。公立の後期試験を受ける生徒諸君にとっては、まだまだこれからが戦いです。また、合格発表を今か今かと心待ちにしている方もたくさんいることと思います。そういう意味では今日は一つの区切りではありますけれども、まだまだ終わりではないというような日ではありますけれども、まずは卒業式ということで心よりお祝い申し上げます。

 さて、皆さんが在籍していただいた平成28年から平成31年。この3年間を振り返ってみていかがだったでしょうか。平成は31年で終わりを迎えるということで、皆さんは平成最後の卒業生という形になるかと思います。今日の日を迎えるにあたり、私も恥ずかしながら実は非常に緊張していまして、今朝は4時に目が覚めてしまい、自宅の周りを散歩しました。式辞を考えながら歩いていると、先ほどお話しさせていただいた思い出が、頭の中を走馬灯のように駆け巡るものがあっりましたが、この3年間の大きな出来事では、まず選挙権が20歳から18歳になった。皆さんは選挙権を持てる年齢になりました。また、アメリカ大統領がトランプ氏に。リオデジャネイロでオリンピックが開催され、日本はメダルラッシュに湧きました。その反面、熊本や北海道では大きな地震が発生し、また広島を中心とした西日本では台風や集中豪雨などの様々な自然災害が起こったことも記憶にとどめています。今もなお、避難所で過ごされていたり、悲しい思いをされている方々がたくさんいる中で今日という日を皆さんと迎えられたことを、本当に本当に幸せに思っています。併せてこの高校生活の3年間で悲しい別れを経験された方もたくさんいらっしゃいました。先ほど理事長からもお話がありましたように、本校は浄土宗の教えを建学の精神としています。全校集会では私自身も僧侶の資格を取るために修行に行っているというお話もさせていただきました。改めて思うのは、本当にこの場所にいられることへの感謝の思いと、また大事に大事にお子様をお育てになられた保護者の皆様への心からの感謝の思い。そういったところが今日という良き日に、このような素晴らしいお天気、素晴らしい場所、素晴らしいご来賓の皆様と共に過ごせることを心から感謝したいと思います。
全校集会等では皆さんに色々な話をさせてもらいました。ちょうど皆さんが在籍している間にはAI、いわゆる人工知能という存在が多く取上げられるようになったり、現在の仕事の47%が自動化される時代が来るというお話をさせていただいたり、シンギュラリティという人工知能が人間の能力を超える日が近い将来やってくるというお話をさせていただいたりしました。そして、今日は皆さんに直接お話ができる最後の日だと思ったら紙に書ききれないくらいたくさんの伝えたいことが出てきてしまいました。ただ、それを長々と話してしまっても皆さんへのメッセージにはならないと思うので、一つだけお伝えしておきたいことをお話ししたいと思います。
それは、「挨拶を大事にしてください」ということです。朝、昇降口に立って、皆さんと「おはようございます」と挨拶を交わしたり、始業式や終業式の時など、様々な場面で皆さんと挨拶を交わさせてもらいましたが、本当に世の中、社会に出て大事なことは、私は挨拶だと思います。卒業式の式辞としては、あまりにも幼稚な内容だと感じるかもしれませんが、どんなに人工知能が発達しようが、どんなに世の中のデジタル化による情報技術が進もうが、人間が人間として生きていく限り、絶対になくならないのは人間と人間のコミュニケーションです。そのコミュニケーションの第一歩となるのが挨拶であり、私自身もまだまだできていないなと感じています。ご来校いただく多くの方からはよく「正智の生徒はしっかり挨拶ができていますね」「本当にいつも気持ちよく挨拶してくれますね」とありがたいお言葉を頂戴します。それは私自身も誇りに思っていますが、是非この制服を脱いで、この場所を離れて全く違う環境に立ったとしても、続けてきたことや伝えてきたことを忘れないでください。『挨拶』という言葉を漢字で書けますか?挨拶の『アイ』は手偏に片仮名の『ム』を書いて、下に漢字の『矢』を書きます。そして『サツ』は手偏に平仮名の『く』を3つ書いて下に片仮名の『タ』を書きます。挨拶とはもともと禅の禅問答の時に使われていた言葉で、師匠が問題を出すことを『挨』、答えるのことを『拶』と呼ばれていた。あるいはお互いが禅問答の中で、それが物事を始める最初ということで『一挨一拶』というところから生まれたものです。そこから『こんにちは』『おはようございます』『ありがとうございます』と様々な挨拶をすることになりますが、やはり挨拶というものは気持ちの良いコミュニケーションの第一歩であると同時に、私は自分の心を開くことだと思います。自分の心を開くということは人に対して挨拶をすると、「あ、この人は自分に対して心を開いて私のことを受け入れてくれているんだな」。このように心を開くことで、受け止め方は自分をキチっと味方として受け止めてくれる。味方として受け止めてくれれば相手も心を開いてくれる。心を開いてくれればそこから会話が弾んでいく。それは日本人だろうと外国人であろうとグローバル社会だろうと全く変わらないことだと思っています。
『当たり前のことを当たり前にしましょう』と常々言われていますけど、それは当たり前のことができていないからだと思います。是非、卒業の折にあたって当たり前のことを改めて皆さんに伝えたいと思います。挨拶を大切にしてください。そして、挨拶をする時には笑顔で、キチンと、相手の目を見て。たかが3つのとても基本的なことですけど、それすれば世界が変わります。第一歩を踏み出せば世の中が変わります。皆さんの人生が変わります。そのことを改めてこの場で伝えたいと思います。
そして、その最初の挨拶として是非、今日家に帰ったらお父様お母様に「ありがとう!」と伝えてください。本当の心からの感謝の挨拶を、恥ずかしいかもしれないけど、ありがとうと是非伝えてほしいなと思います。
私にも2人の子供がいます。どれだけ子供を愛しているか、どれだけ子供の人生が自分の励みになっているか。皆さんもいつか家族を持って親になったらわかるかもしれませんが、今日この場にいらっしゃるお父様お母様は、それだけの心配事や、喜びや、苦しみや、そういったことを共有して皆さんを育ててくださった。改めてその気持ちに胸が裂ける思いです。恥ずかしいかもしれないけど、LINEやメールではなく、自分の言葉で感謝の挨拶を伝えてください。

最後に、これから皆さんは様々な進路に巣立っていきます。就職する方、短大に行く方、大学に行く方、専門学校に行く方、それぞれの進路に向かっていく時に、この高校で学んだ3年間を胸に、自信を持って堂々と歩んでいってください。『これは自分にはできない』『こんなことは無理』ということではなく、メジャーリーグで活躍している大谷翔平選手はこんな言葉を残しています。『先入観は可能を不可能にする』自分が不可能だと思ったらできることもできなくなります。努力をしても成功するかどうかはわかりません。ただ、自分がやってきたことや自分がやりたいことを信じられない人は成功できないと思います。是非、自分のことを信じて、愛して、大切にして、そして挨拶をコミュニケーションの第一歩として繋げていただきたいなと思っています。皆さんの未来が大きく開けることを心から祈るとともに、皆さんの未来を大いに応援しています。

あなたの感想をお聞かせください
いいね! (2)